2010年度ALT春合宿~開発セッション~

※メンバー※

担当:中澤&佐藤
参加者:大城D1、帯刀M2、木村M2、福山M2、柴田M1、山田M0、末M0 (計7名)

※セッションの概要※

開発セッションでは、昨年に引き続き、「開発研究のトレーニング」と題して、具体的な練習課題に取り組んでもらい、開発研究の流れを体験していただきます。

課題には、「Topobo」を取り上げます。「Topobo」は、MITメディアラボの石井裕氏が率いるタンジブル・メディアグループの研究室で、2004年にHayes RaffleとAmanda Parkesによって研究開発された「動くモジュール」と「動かないモジュール」とを「LEGO」のように組み合わせて、複雑な運動をつくり出すことができるロボット玩具です。「開発物で学びを支援するとは一体どういうことなのか?」について、Topoboをいじりながら考える会にしたいと思います。

開発研究と一口に言っても、下記のようなバリエーションがあります。
-何らかの課題を解決するようなツールを開発し、それが有効なのかを 評価する
-あるツールを開発し、それが教育でどのように活用できるかを 探索する

そこで、まずは、開発研究の系譜を学習観と技術の変遷と絡めて概観し、地図を描くことを行います。
次に、Topoboを用いた開発研究の位置を確かめた上で、実際にTopoboをいじりながら、研究として仕上げることを試行錯誤していきます。

※プログラム※

1) アイスブレイク:(30分)
   自己紹介・開発研究に寄せる思い
   (研究系譜に自身の研究がどう位置づくのか?について【宿題参照!】)
2) レクチャーI:(15分)
   開発研究の50年を俯瞰する
3) タンジブルアクティビティ:(10分)
   「Topobo」を触る
4) レクチャーII:(15分)
   「Topobo」研究の紹介
5) リサーチアクティビティ:(50分)
   -学習理論に基づいたアイデアづくり
   -アイデア発表・ディスカッション

※宿題※

当日までに、下記資料に目を通してきて下さい。
その際、「自分のやりたい研究が開発研究の系譜にどう位置づくのか?」
について考えてみて下さい。 
 M0とM1: 1)を中心に。
 M2とD2: 1)はさらりと、2)以降は興味ある順で。

1) 「デジタル教材の教育学」 山内 祐平 (著) 東京大学出版会 (2010/04)
   序章 デジタル教材と教育学
   第1章 個人差に対応する
   第2章 学びの文脈を作る
   第3章 議論の中で学ぶ
   終章 デジタル教材と学びの未来

2) 「教育システム」の研究動向 菅井 勝雄
   日本教育工学雑誌 21(4), 203-208, 1998
   http://ci.nii.ac.jp/lognavi?name=nels&lang=jp&type=pdf&id=ART0003486797

3) 教育工学–構成主義の「学習論」に出あう 菅井 勝雄
   教育学研究 60(3), p237-247, 1993-09
   http://ci.nii.ac.jp/naid/40000691992

4) CAI研究の可能性と今後の課題
    : パラダイム論の観点からみたCAI設計思想の転換をめぐって
   
日本教育工学雑誌 7(4), 171-181, 1983-03-20
   http://ci.nii.ac.jp/els/110003026601.pdf?id=ART0003487467&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1298550546&cp=

5) Hayes Solos Raffle, Amanda J. Parkes and Hiroshi Ishii (2004)
   Topobo: A Constructive Assembly System with Kinetic Memory

   CHI ’04 Proceedings of the SIGCHI conference
   on Human factors in computing systems
   http://www.topobo.com/Topobo-CHI.pdf

6) Amanda J. Parkes,  Hayes Solos Raffle and Hiroshi Ishii (2008)
   Topobo in the wild:
    longitudinal evaluations of educators appropriating a tangible interface
   CHI ’08 Proceedings of the twenty-sixth annual SIGCHI conference
   on Human factors in computing systems
   http://www.topobo.com/topobo_in_the_wild.pdf

7) Topoboパンフレット
   http://www.topobo.com/aec/bookletlowres.pdf

※参考 I ※

あくまでもご参考までに! Webページから・・・。

・「5分でわかる学習理論講座」第2回:
 学習理論領域における学習観の大きな転換点を捉える!〜「行動主義」と「構成主義」
 http://www.beatiii.jp/beating/013.html

・「5分でわかる学習理論講座」第3回:
 学習を「個人の営み」ではなく、「社会的な営み」として捉え直す〜「社会的構成主義」
 http://www.beatiii.jp/beating/014.html

・ylabブログ 【エッセイ】ピアジェとパパート
 http://blog.iii.u-tokyo.ac.jp/ylab/2010/11/post_267.html

・BEAT Seminar 2007年度第1回:知育玩具ー創造的制作活動をアフォードする人工物ー
 http://www.beatiii.jp/seminar/030.html

BEAT Seminar 2005年度第3回:デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロジー
 インタラクティブ学習環境「Logo」
 http://www.beatiii.jp/seminar/011.html

・中原先生のブログ:CSCL-Computer supported Collaborative Learning-As Ideas
 http://www.nakahara-lab.net/csclidea.html

※参考 II ※

評価の事が知りたくなったら・・・
「実験や調査セッションと内容的にかぶるのですが、第1回については、工学と
心理学的評価の連携が書かれているので、参考になると思いました。」 by中澤さん

三浦麻子(2005)概論: 心理学的評価のための基本的視座(連載チュートリアル
 「AI研究における評価のための実践的Tips: 研究計画から分析まで」〔第1回〕),
 人工知能学会誌 20(6), 723-730.

三浦麻子 (2006) 技法1 : 実験による評価(連載チュートリアル「AI研究における
 評価のための実践的Tips: 研究計画から分析まで」〔第2回〕),
人工知能学会誌
 21(1), 102-110.

三浦麻子 (2006) 技法2:調査による評価(AI研究における評価のための実践的Tips:研究
 計画から分析まで〔第3回〕,
連載チュートリアル),
 人工知能学会誌 21(2), 225-233.

三浦麻子(2006)分析1 : 実験データの分析(AI研究における評価のための実践的Tips:
 研究計画から分析まで〔第4回〕),
人工知能学会誌 21(4), 480-489.

・三浦麻子(2006)分析2 : 調査データの分析(「AI研究における評価のための実践的
 Tips:研究計画から分析まで」(第5回)),
人工知能学会誌 21(5), 620-629.

・三浦麻子 (2006). 演習:より良い評価研究を目指して(AI研究における評価のための
 実践的Tips:研究計画から分析まで〔第6回〕),
人工知能学会誌 21(6), 739-746.

・三浦麻子(2007)チュートリアル疑問編 : 連載記事に関するQ&A(<連載チュートリア
 ル>AI研究における評価のための実践的Tips : 研究計画から分析まで〔第7回〕),
 人工知能学会誌 22(3), 419-424.

※参考 III ※

参考までに3・・。・2009年度の開発セッションで取り上げられた論文です。
!希望者には論文一式お渡しします。!

(1)八重樫文, 北村智, 久松慎一, 酒井俊典, 望月俊男, 山内祐平, (2005). iPlayer:
   eラーニング用インタラクティブ・ストリーミング・プレイヤーの開発と評価,
   日本教育工学会論文誌, 29(3): 207-216

(2)望月俊男,加藤浩,八重樫文,永盛祐介,西森年寿,藤田忍,(2007)ProBoPortable:
   プロジェクト学習における分業状態を可視化する携帯電話ソフトウェアの開発と評価.

   日本教育工学会論文誌,31(2): 199-209

(3)佐藤弘毅, 柳沢昌義, 赤堀侃司, (2004) 受講者のフィードバックを黒板に表示す
   るソフトウェアの開発と評価
, 科学教育研究, 28(5): 295-305

(4)ロペス ロベルト; 馬田 一郎; 萩田 紀博; 佐藤 知裕; 吉田 香; 苗村 昌秀
   グループウェアにおける作業スペース共有方式がユーザ間の社会的関係構築に及ぼす影響 :
    Sense Web の評価事例
,ヒューマンインタフェース学会論文誌 8(1),49-58,20060225

(5)西森,年寿; 中原,淳; 杉本,圭優; 浦嶋,憲明; 荒地,美和; 永岡,慶三
  <論文>遠隔教育における役割を導入した討論を支援するCSCLの開発と評価 (<特集>
  情報コミュニケーション技術(ICT)と学習)
  日本教育工学雑誌 25(2),103-114,20010920(ISSN 03855236)